【HelloStrangerのお肉の購入はコチラ】

嗜好の偏重がもたらす不可逆的な事実。 血の平準化について

東京大学で聞いた興味深い話とチャールズ・ダーウィン

ハローストレンジャーにとって、味の測定化や肉のアミノ酸測定値の可視化が一つミッションであることから、東京大学にて成分分析手法についてのお話、またアミノ酸測定値についての考え方を教示頂いた際に伺ったお話に興味深いものがありました。

「生命科学とAIを用いて農作物のロジックを解き明かし、再現性のある形で多様な嗜好性に応える食材を提供することにより “系統を保存する” という役割も副次的に発生する。

 

簡単にいってしまうと、栄養学を駆使して人々の多種多様な味の好みを再現できるようになれば、多くの消えていくであろう品種をこの世から守ることができるという事でした。

もちろん、エビデンスも取りながら地道な研究の末に成り立つ事ですが、この言葉に少しだけときめいてしまいました。

チャールズ・ダーウィンの種の起原にこんな言葉があります。

欲する目的に到達することを念頭におけば、種は減少するかあるいは消滅する。

そして、淘汰が個体に適用されると同様に一族にも適用される

養牛家は肉と脂肪が十分に大理石模様に入り混じることを望んでいる。

その特徴のある牛は屠殺され、同一系統のものと求めて生産をしてきた。

 

チャールズ・ダーウィン/堀伸夫・堀大才訳 種の起原より

上記の東京大学でのお話も、チャールズ・ダーウィンも同じことを語っていると思っています。

つまり、偏った嗜好性や消費動向を作り出してしまうと、当然ながら“種”も、その流れに逆らえず偏り始めてしまいます。

結果的にはその偏重が “消滅する種” を作り出してしまい、その事に気がついた時には、種の保存としては手遅れになってしまう。

嗜好性や流行や制度といった、何らかの画一的な方法は多様性を奪うと同時に “種” までも変化させてしまいます。

畜産業界で起こりうる
血の平準化について

牛にも当然ながら血統というものがあります。

血統は改良増殖されたり平準化させたりと常に研究され、進化していきます。

詳しくは(独)家畜改良セ ンターを参考に調べていただけたらと思うのですが、日本の黒毛和牛の血統を遡って行くと中国山地の山あいで飼育されていた蔓牛(つるうし)に行き当たります。

島根、岡山、広島そのあたりになります。

そのルーツを元にして全国各地で改良と平準化を繰り返して、地域の血統が出来上がっていったというのが大きな流れになります。質の良い牛を作るために先人の努力が伺いしれます。

さてさてそれでは、現在の黒毛和牛の血統はどうなんでしょうか?

鹿児島の『平茂勝(ひらしげかつ)』岐阜の『安福(やすふく)』島根の『北国7の8』の血統をさかのぼれば、この3頭の血が現役の種牛にはほどんど入っている、というのが現在の状況になります。

何故?、なぜ?、ナゼ?

3つの種牛に共通しているのは黒毛和牛の中でも特にサシ(脂肪交雑)が入りやすく、1990年代から続くA5信仰というべきサシ中心の嗜好性にマッチしていた事。

そして2000年代に発生した狂牛病、所謂BSE問題で下落した食肉価格を補うため、歩留まりの良い品種が重宝された事

この2点が平茂勝、安福、北国7の8といった血統に光が当たった理由といえます。

このあたりは以前掲載した
日本の畜産はリバースエンジニアリングやコンテンツSEOの世界に突入しつつあるという事実!!
でも紹介させていただきましたので、興味のある方は読んでみてください。

ここで問題なのなにかというと、
“種の不可逆性”にあると考えています。

A5が量産されたとしても、黒毛和牛が日本でも海外でも流行ったとしていても、それはそれで良いことなんですが、一度進んでしまった道を後戻り出来ないということに問題があるのではないかと感じています。

血統が偏重したことで黒毛和牛の近親交配は進み、系統間の差異が失われてしまって来ているという功罪は確かに発生しているのです。

重要なのは多様化した
価値基準を認めること

偏重する事、流行がある事、これらは畜産に限った事ではなく、ファッション、音楽、食トレンド、アート、建築、人材、思想・・・どの分野で仕事をしても存在することですね。

きっとその流れが変化することもきっとないでしょう。例えば “ロハスがブーム” の様な、対極に存在するようなことでさえもブームになってしまう世の中ですので、避けて通れという方が難しいですよね。

ただ、帰り道がないのは危険です。
時計の針のように時代は回るのかもしれませんが、果たして牛肉は同じ位置に戻って来れるのでしょうかね?

多種多様な種牛と多種多様な味覚、そして価値基準が分散化したマーケットを作って行くことが現在の畜産・精肉の分野で最も必要な事であり、その基準値を数値として残していくことが、これから先の日本の牛の価値を作る大きな一歩であるように感じます。

そのために何をしていくか、そんな視点でハローストレンジャーは進んでみたいと考えます。