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ROAD to 塊肉 初級(全5頁) 牛肉を上手に焼く方法 導入編

レアとミディアムとウェルダンは科学的に何が違うのか

前回は「焼き方は重要な事ではない。重要なのはその塊肉をどうしたいか!!」というテーマで
DoneNessの基本をお話させて頂きました。

焼き方【how to】よりも【want to】何をしたいかが重要であり、どんなシチュエーションどういうお肉の提供をイメージするかということのほうが、技術よりも知識よりも重要な事なのだ!!と若干偉そうに言い切りました。

読み直してみても、「いいこと言ってるなぁ」と思ったので多分そうなのでしょうね。

あまり難しく考えすぎずに、家族でBBQを行いフィレ肉を焼きたいと思っている。大人はレアで仕上げ、子供はもう少し火を通してミディアム・レア位に仕上げよう。カトラリーはあるので大きな塊で焼いてそのまま提供しよう。などと願望をそのまま実現すればいいと思っています。

その時に、肉の部位の特徴や火入れについてある程度知っておくべき知識というものは存在します。

上のケースではフィレ肉でしたのでよかったのですが、イチボなどの場合だとミディアム・レアで塊のまま子供に出してしまうと、「お父さん、噛み切れなーい」と言われてしまう事もあります。

なぜそうなるかをできる限り科学的にお伝えしていきたいと思います。

DoneNessの温度帯は前回の記事でも簡単に説明しました。

ブルーレアが49℃まで、レアが55℃まで、ミディアム・レアが60℃まで、ミディアムが65℃まで、ウェルダンが71℃以上。となっています。

私が提供する場合は肉の部位によってDoneNessを分けることがほとんどです。

「それは何故か?」

 

肉の柔らかさとサシの入り具合を学ぼう!!

答えは、肉の種類によっては必要以上に火を入れる必要がないからなんです!!

解りやすい例から説明していきますね。

下記はBMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)といって牛肉の価値を決定するための指標になります。脂肪交雑とも言い換えられます。

このBMSは全国統一で肋骨の6本目と7本目を切開して、その断面で評価します。ちょうどリブロースの部分ですね。BMSは12分類で別れており、等級と言われるのがよく耳にするA5などの5。
A◯の◯にあたる部分を決定していきます。
(※厳密には「脂肪交雑」「肉の色沢」「肉の締まり及びきめ」「脂肪の色沢と質」の4項目が5段階で評価され、4つの項目で一番低い等級が、肉質等級と判定されます。)

図を見ていただくと分かる通り、サーロインやリブロースといった脂肪交雑、つまりサシの入った牛肉は等級3以上になってくると牛脂肪比率が50%−60%と高いんです。

このサシの入った牛肉を赤身の牛肉と同じ基準で火を入れるとどうなるでしょうか?

スカスカな食感で香りも飛んでしまいます。

理由を説明しますと、牛脂の融点は40℃から50℃が一般的です。この牛脂融点に対してDoneNessの温度を適用させてみるとブルーレアが49℃まで、レアが55℃までと考えるとレアに至るまでに溶けてしまいますよね。赤身に火が入る前に脂が溶けてしまうからなんです。

 

結論的には、サーロインやリブロース、肩ロースなどの部位に関しては、よほどのリクエストがない限りはレア・ミディアムレアと呼ばれる状態で仕上げていくのがオススメです。これは、フライパンでもグリルでも低温調理においても同様だと考えています。

 

考え方を変えて、こうしたロイン系のお肉は、脂の香り、脂の味、脂の質を楽しむお肉と言い換えてもいいのかもしれません。甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に続く第6の味覚として、脂味が発見されていますが、脂味の存在を消してしまうのではなく、そこに注目しながら食べるのも通だと思います。

スジとタンパク質変性温度を学ぼう!!

もう一つ重要なのがタンパク質変性温度です。

聞き慣れない言葉かと思いますが簡単に言ってしまえば、どの温度帯でタンパク質が変化していくかということを言っています。いくら牛に個体差があったとしても、揺るがない事実をしっかりと把握しておくことがとても大切です。

例えば、牛肉を加熱すれば赤みがかった生肉の色が茶色に変化していきますよね。あれはミオグロビンというタンパク質が化学変化した結果なんです。

鉄を含む色素ヘムと結合したものなんですが、色が変わるのは加熱することで酸化が進んで色が変わります。これは冷蔵庫の中においてあるお肉も同じです。
(余談ですが変色したから肉が傷んだというわけではないので覚えておいてください。)

この様にタンパク質は温度や酸化によりいろいろな表情を見せます。どの温度帯でどんな変化が起こるのかを少し解説していきます。元ネタはCooking for geeksより

まず、お肉というものはこんな構成で出来上がっています。
正直気にしたこともないとは思います。

水分:約50~70%、タンパク質:約24~36%、脂質:約5~20%

率直に驚くのは水分の多さですよね。

その他は3大栄養素の内、タンパク質、脂質の2つで構成されております。
もっと分かりやすくいうと水とタンパク質(赤身の筋肉)と脂質(脂肪つまり脂)です。

改めて説明されると当たり前といえば当たり前ですよね。さらに70%の水分は脂には混じわりませんのでタンパク質が保水しているのが水分ということになります。

赤身の多い肉はそれだけ水分比率も高く、赤身が少ないロイン系は水分比率が低くなってきます。
保水率というのはそれだけ肉汁を多く保有できるということでもあるので旨味を味わいたいなら赤身、脂味を楽しみたいならロイン系という選びかたもできたりします。

次に赤身を構成するタンパク質は主に2つのタンパクで構成されています。
筋肉の収縮をコントロールするタンパク質であるミオシンアクチンです。これ以外にもあるのですがミオシンとアクチンだけ覚えていただければ十分です。ミオシンとアクチンは筋繊維の収縮の作用を行う繊維に含まれているタンパク質で、比較的柔らかいタンパク質になります。このミオシンとアクチンが火を通すことでどんな変化がされるかを注目してほしいです。

この他に、スジの部分などに含まれているコラーゲンがとても重要です。

コラーゲンはすごく硬いのが特徴です。コラーゲンは真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質なので当然ながら硬いですよね。このコラーゲン、火を通すとトロトロにとけて柔らかくなります。牛すじを思い浮かべていただけたら解りやすいかと思います。

それでは本題の、熱によるタンパク質の変化をみていきましょう。

【加熱によるタンパク質変性】

50度

ミオシンが変性
収縮筋の繊維であるミオシンが50℃以上で変化していくと、生肉の歯切れの悪さがなくなります。

 

56度

コラーゲンが変性
筋繊維の間にあるスジの部分のコラーゲンが溶け出し、硬いスジが柔らかくなっていきます。

 

60度

肉の色が変色(ミオグロビンが酸化)
赤い色が徐々に茶色に変化していきます。

 

66度

アクチンが変性
アクチンは、水分をたっぷりつかんでいるタンパク質なので、加熱することで水分を外に絞り出してしまいます。

そして人間は食べた時

「ミオシンは変性しているが、アクチンは変性していない状態」を「おいしい」

と感じる事がCooking for geeksでも説明されています。

単純に考えれば50℃−66℃までで仕上げるというのが望ましいことになります。
それはDoneNessに当てはめてみるとブルーレアからミディアムということになります。
わかりにくいので、もう一度図を記載しますね。

つまり、火入れの中で避けて行くべき状態を順に並べるとこんな感じでしょうか。

・ミオシンがが編成する前の状態で食べるとなんだかグミみたいな食感になってしまう。
・アクチンが変性しきって肉汁が外にできっていてパサパサしている。
・コラーゲンが溶けていなくて噛み切れない。

「焼き方は重要な事ではない。重要なのはその塊肉をどうしたいか!!

何度もしつこいのですが、①肉の柔らかさとサシの入り具合②スジとタンパク質変性温度、という考え方を踏まえて考えてみた時に、改めてこの言葉を思い出してほしくて書きました。

例えばフィレ、サーロイン、リブロースの様にスジのない部分に関してはコラーゲンが変性をする前の55℃までを上限として、サシの入り具合をみて牛脂の融点である50℃で仕上げるかどうかなどを判断すればよくよほどの希望がなければウェルダンにする必要もないのかと思います。
※ここは人の好みですのでウェルダンを希望してももちろんOK

ランプやイチボの様に部分的にスジがある部位に関しては、スジを事前に取り除いてブルーレアで仕上げるかレアで仕上げるという方法。またはコラーゲン変性を経て66度:アクチンが変性が始まる前までに仕上げるミディアムまで)というのもいい目標値かと思います。

今回の最後に多少の宣伝なのですが、ハローストレンジャーの牛肉は、一般的な牛肉に比べてとても保水率が高く更に柔らかい肉質(和牛なみの柔らかさ)であると味覚分析でも証明されています。

ミディアムまでのDoneNessであればどんな温度帯にも目標設定ができますし、焼き加減を変化させて楽しむ変わった楽しさも提供することができます。

味の奥深さ(旨味の後味)なども特徴的なのですが、どう調理したいかを楽しんでもらいたいというのも我々からのメッセージですので是非、試してみてくださいね。

次回からは部位別の焼き方解説に入っていきたいと思います。

うんちくっぽいのはこのくらいでいいのかなあと思いますので、次回もよろしくおねがいします。